「R.E.Mです。このJKからはR.E.Mの気合いみたいなものを感じるんだけど、それは俺の気のせいなんですかね」
「時代に追いついていくのがやっとって感じだね」
「またかよ〜(笑)」
「ハァ、ハァ、みたいな感じね」
「いや、俺思うんだけどね、20代くらいまでの間はさ時代感覚っていうものを無意識に表現できると思うんだけど、、あ、年とるとそういうものが鈍るって話じゃないよ、でもやっぱりさ30代以降は時代の雰囲気を感じていたとしてもそれを表現するためにもうひとつふんばる気力というものが必要になってきて、で、このR.E.Mの場合それが音に気迫としてにじみでてるような気がするんだけどね」
「そんなことしてちゃだめだと思うね」
「あー、そだな」
「もっと自然にやれてないとだめだよ」
「うん。今ちょっと思いつかないけどね、そういうミュージシャンやバンドもいるよね」
「最近のマドンナなんてそれやりすぎだよね」
「なるほどね」
「けっこう昔のバンドが新しいアルバムを出してるけどもさ」
「うん」
「今度のR.E.Mは実際どう? 実際っていうか、まあ、占いだけどさ」
「健闘していると思う」
「どれくらい健闘していますか?」
「80%」
「100%がなんなんのかって話だよね(笑)」
「残り20%は努力のかいがあらわれてないっていう20%なんだけど」
「実は俺このアルバム聴いたんだよね」
「どうでしたか?」
「うーん」
「70%だった?」
「パーセンテージとかそういう問題じゃないんだよね」
「なんでそんな悲しい顔するの」
「いや素直に言うと、悲しかったの。悲しい意見なんだけど、俺もがんばらなきゃとかそういうふうに思わされるアルバムだったな」
「なにが悲しい意見なの。楽しい意見じゃないの?」
「ナハハ」
「どういう意味なのかわかんない」
「だからやっぱりさ、どうしても…」
「古くさいって言いたいの?」
「年取ったひとががんばってるようには感じちゃうんだけど、そのがんばりがうっ、…」
「うっとおしい? って言おうとしたね、今」
「やっぱり時代にぴったり寄り添っていて、なおかつ自然体で今の自分を表現するアーティストっていうのは年関係ないからさ」
「うん」
「それが常にできるひとこそが普遍的な魅力を放つアーティストだからさ」
「うん」
「そういう意味においてはR.E.Mがそうかと言われればそうじゃないような気が…」
「でも努力しているよね」
「そう! だからさ、それがやっぱすごいと思うんだよね。だけど目指すは、なんだろな。具体的なアーティストとして岡本太郎氏のような存在がバンドとかさ」
「はあはあ」
「そうそう」
「ポール・マッカトニー?」
「ま、そうだよね。ポールのライヴでも新作でもアルバムを聴いて年とっているひとががんばってるとは思わないもんね」
「うん」
「ただひたすらにポールの表現が爆発しているだけだもんね」
「うん」
「それが歌えてようが歌えてなかろうが、昔のポールがどうだったかというのを抜きにして、そのポールのアルバム自体が今現代においても他とはちがう輝きを放ってるということだからね」
「やっぱりね、変化をちゃんとできないのは変化を拒むからだよ」
「うん、うん、うん、なるほど。そだな。変化を拒ないでおこうと思っても、」
「新しい若手の力をもったミュージシャンが出て来て自分たちの権威になったりするとどこかしら拒むところはあるだろうね」
「そういうのを全く気にしないで自分の表現だけに向かい合えるバンドとかミュージシャンを見ると、なんていうか、この、救われた気になるよね」
「……ああ〜、ガリバーもそんなこと言ってちゃダメだな〜」
「カットしよ、ここ。自分カット」
「このアルバムの一番の聴きどころはなんだろう?」
「やっぱり無理してる部分じゃない部分っていうのも40%くらい残ってて、そこにR.E.Mの本質がちゃんとあらわれているところだと思う。そこだけはかなりしっかりしているってところがあって」
「ふん」
「そこはやっぱりきっちり構築されてるから。聴きごたえはあると思うよファンだったら」
「聴きごたえあったよ」
「あ、そう」
「もっとじっくり聴いて、その本質は何かとか感じながら聴けばもっといいんだろうけど。まだそこまでは聴いていない」
「変化しなきゃっていうのと、変化しない本質みたいなのがせめぎあっているから、全部がひとつに統一されていないというか、そういう心の迷いがなければいいと思う」
「うん。なるほど」
「でも、だからこそこのちょっとセクシーな感じなアルバムになったのかもしれないね」
「それはいいね。それはすごくいいと思う」
ベテラン・ミュージシャンの占いがつづいている。
長年やっているからといって新鮮じゃないとは思わないが、
新人とは別の輝きを放っていると思う。
それはとてもセクシーなものだ。
なにがどうセクシーかと言われると困るのが、
深夜のファミレスで語り合う男と女という感じ。
カップルではなく男と女である。
ちなみに色っぽいのとセクシーなのはちがう。
自分の本質に向きあった人間が、
無自覚的な空間にいることで放たれる魅力だ。
(わけわかんない)
言葉で説明するのは難しい。
自分の才能を表現する技術を磨いてきたベテランが、
必死になっている姿はセクシーだということ。
電球が切れる前に、
カッと一瞬とんでもなく明るくなる。
それはセクシーだ。
なんか失礼な話になってきた。
俺の言いたいことはちょっとちがう。
形でないのは確かだ。
少し考えさせてください。
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