「このアルバムにはタイトルも名前もないのかな?」
「ついてないね」
「ふーん。なんでつけなかったんだろ? それほど自分に自信があるってことなのかな」
「縦のとこについてるんじゃない?」
「レッド・ツェッペリンの4作目なんてさ、音だけで評価しろってタイトルも何もつけなかったという話があるわけなんだけど、このアルバムにも何かそういう理由があるんですかね」
「もし実際のJKにもついていないとしたら、それはストロークスだからじゃないの」
「ストロークの俺は誰もがみんな知ってるだろうってこと?」
「ちがう。この人にとってはストロークスがメインという感覚のほうが強くあって、ソロに名前を大きく入れてみたら違和感がしたんじゃないかな」
「なるほどねー。このJKにはそういった気持ちの一面が出てんですね」
「ほんとかどうか知らないよ ! いまのとこは占いじゃないもん」
「実際、音のほうはどうなんだろうね?
ストロークスと違うらしいんだけどさ、やっぱりあえてちがうようにしてるんだ?」
「それはもちろんいろんな側面があるから、と思うよ。このひとの」
「うん。もっと詳しくみてみてくれる?」
「…あのー、こう言うとソロだから当たり前って言われるかもしれないけど、でも、そういう想像以上にプライベートな音という感じがする」
「はああー。プライベートな音っていいよね」
「うんそうね」
「ということは、ジュリアン・カサブランカスはやりたいこと120%くらい思いきりやれたんでしょうね」
「うん。でもそういう雰囲気じゃない感じね、もっと気楽なアルバムだと思うんだよね」
「みんなが想像しがちな重いストロークスじゃなくて、そして、いかにもソロ! ドカーン!というのではなくて? ということ?」
「こっち(ソングライティング中にメインで出てくるの音)はストロークスだけど、こっち(それとは別に自分から出てきた音)は何なのかなー? と考えた時に、これはもしかしたらソロをやったらいいのかもしれないかなーと思ってやった感じの気楽さというかね」
「じゃあ、先にソロアルバムありきじゃなくて」
「予感があって、というか、そういう傾向の曲、またはフレーズがいくつかあってやりたいことのイメージができたんじゃないかって感じがする」
「ふーん。他のメンバーは自信のユニットとかソロとかポコポコだしててさ、でもこの彼だけがずっと出してなかったわけなんだけど」
「それはやっぱりこだわりがあったからなんじゃないかな、いろいろ、彼の。でも今回のは自然な流れで作ることができたから、それはOKだと感じたんだとおもう」
「なるほどね」
「じゃあ、このあとにまたソロを何枚かとかそういうことは特別考えたりはしてないの?」
「そういうことはいまは考えていないと思うよ」
「今回はたまたま出来たんだ?」
「トム・ヨークの占いのときもそういうのに近かったんじゃなかったっけ?」
「そんなこと言ってたね。トム・ヨークのあのアルバムのスタンスに近いってこと?」
「だと思うよ。もちろん内容全然ちがうけど。本人にとってのソロへの流れは近いかもね」
「あのさ、トム・ヨークはイギリス人じゃない。ストロークスはニューヨークのバンドじゃない。でもこのアルバムをパッと見たときイギリスぽい印象を受けたんだよね。なんでなんだろ?」
「うん。イギリスぽいね。それはプライベートさが出ているからだよきっと。あんまりパブリック向けっぽくなくてね」
「あー、なるほどね、そこにつながっているわけだ」
「狭い感じがしたんじゃない」
「うん、いい意味でね。なかなか良さそうだね。そうやって聞くとね」
「気になったのは、このアルバムにおいてのこの人の音の作り方なんだけど。ストロークスでは、バンドでしっかりと緊張感もって作ってるっていうイメージあるんだけど、ソロのときはもっと、楽しくのびのび自由にやったのかなって。まあ、ストロークスでも自由にやってんだろうけどさ、なんていえばいいのかな〜…」
「あたま使ったとおもうわ」
「あたま使ったの?」
「うん」
「そりゃ、意外な、意見だね
「あの、曲の切れ端みたいなのがいっぱい落ちていてさ、それを曲にするのに、けっこうあたま使ったとおもう」
「ふぁ〜〜〜」
「だからのびのび楽しく、とかそういうのはちょっと合わないとおもう。表現として」
「いや、俺だってこの人が“のびのび楽しく”っていうのはちがう思うけど、なんかこううまく言葉が出てこなくてさ…。でも、頭を使って断片的なものをいろいろ構築していったのは、なるほどなって感じするよ」
「このJK見る限りだと、ま、俺が占うわけじゃないけど、それはけっこう上手くいったんじゃないの? そのパズルみたいなのは」
「どこにもあてはまらないようなアルバムになったんじゃないかなあ」
「JK的には、どう? このアルバムはいいなーとか、イマイチとか、いつもレコード屋で教えてくれるけど、そういうのはどうなの?」
「そんなに売る気はないと思うよ」
「売る気ないの…?」
「うん…ストロークスのB面集ぜんぶ自分で作って歌ったみたいなつもりで出してるという感じがする。リスナーの印象としてはそう受け取れないかもしれないけど、でもそういうスタンスが彼の中ではじつはあるんじゃないかと思う」
「なるほどね〜」
「でも、だとしたらそのぶん価値は高いと思うよ」
「あ〜、なるほどね。わかりました。」
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Thanksありがとう!
過去から続いている考え方では対応できない世の中になってきました。
バンドであるか、ソロであるかというのは、“音楽”という観点でとらえた場合、なんの意味もないことなのかもしれない。
できあがった音だけが重要であるならバンドかソロかというのは、音楽を作る方法論にすぎない。
バンドかソロか。アルバムか楽曲単位のダウンロードか。
その境界線はもはや曖昧で、音楽を聴くということだけがシンプルに残されている。
僕自身も、音楽というものがなぜ自分にとって必要なのか、思いこみではない本当の理由を探らなければいけないと思っているところなのです。



