何をするにも集中力を持てないでいる。
今日なんて腕時計をなくしてしまった。
このままでは腕時計をなくすくらいではすまない
大きな災いを招いてしまう気がする。
心をかきみだされている自分を素直に認め、
いまいちど精神をリセットして、
ネガティヴサイクルから脱出するのだ。
こういうときに相談するといいのがR先生である。
R先生は精神世界の真摯な探求者なので、
現在の俺の問題を解決する良い方法を知っているはず。
R先生に聞いてみると、

瞑想と言えばリックルービンを思いだす。
バンドのプロデュースをする際、
良い音をひきだす秘訣は? と聞かれ
「瞑想の中に答えがある」と言っていた。
そのとき以来なんとなく瞑想は気になっていたのだ。
レッチリの復活&名作「カリフォルニケイション」も
ある意味瞑想から生まれたと言えるのではないだろうか。
瞑想はロック好きな俺にぴったりな
集中力をとりもどす方法だ。
Rがシンプルな瞑想のやり方を教えてくれた。
真っ暗な部屋のなかで座禅を組んで目を閉じる。
自分の呼吸に意識を集中し、
それ以外は考えないようにする。
眠るのではなく心を“無”にするのだ。
「無にするのだ」と言われているのに
目を閉じると次から次へと雑念が浮かび、
気づくと雑念に心を奪われている。
これではいかんと思い、
雑念を追い払うと新しい雑念が浮かぶ。
あとでRに教えてもらったが、
心に浮かんだ雑念は
目の前をスルーさせる感じで消すらしい。
俺みたいにいちいち浮かんだ雑念に
ひっかかっていてはダメなのである。
そうこうしているうちにタイマーが鳴って目をあけた。
瞑想で雑念を追い払うことは出来なかったが、
気づいたことがある。
現在の俺は雑念まみれであるということ。
目を閉じた暗闇のなかで自分の雑念がヴィジュアライズされ、
まるで雑念のサイケ絵巻のようであった。
話しは少しそれるが近頃ビートルズをよく聴き直している。
Rにベースを教えるためであるがそれはまた別の話。
ビートルズを聴いていると、
自分がロックを聴き始めた頃を思いだす。
同じクラスの友人に
なにかカッコイイ音楽はないかと聞くと、
ビートルズの全アルバムを貸してくれたのだ。
俺はそのときまで知らなかったが
彼はビートルズマニアなのであった。
初めてビートルズを聴いたときの
自分の夢中具合は忘れられない。
友人から借りたアルバムを抱えて学校から家に帰ると
さっそく聴き始めた。
やめられなかった。
夜が明けて窓の外が青くなってきても繰り返し聴きつづけた。
あれこそ“無心”というのではなかったか。
ビートルズのメロディだけが俺の心を満たしていたのだ。
幸せな時間であった。
その時のひとつのことに没頭する幸福感を
現在の俺は取り戻したいのである。
明日からも瞑想に真面目に取り組もうと思う。
初めてビートルズを聴いたあの夜の自分にGET BACK GO!
ちなみにRは俺にこう言った。
「ビートルズのベースって誰がひいてんの?」
「…」
かざりじゃないから押してみてぃ〜
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