(ガリバー小型テープレコーダーを見つめている)
「微妙に音が変わるんだ。…あ、音が変わった。
音JK占い〜!
「ブュログュ〜〜〜!」
「すごい久しぶりだこれ言うの。えーと、やっぱりね、ソニック・ユースを占おうかと思うわけよ。なんでかって言うと…」
「ええ、なぜですか」
「ウッ…」
「言えないの?」
「…フフ」
「言えないんだ?」
「…ま、ローリング・ストーンズなんて延々やってるけどさ、それとはまた違う流れの、」
「ガリバーさっき言ってたよ、おじさん層をがっちりつかまえるためにソニック・ユースを占わなくちゃって」
「…。ま、そんなことはともかくさ、もう、あんまり今さら当たり前のことを聞けないよね。このバンドについては。だってさ、もう、このアルバムの内容はどうですか? なんてさ、そんなこと失礼で聞けないよ」
「わたくしに?」
「いや、このソニック・ユースに。…それに占ってもらうRさんにもね。だから今、この現代、現代って言っても日本の現代じゃないよ、このアルバムが世界の環境に向けて放っている、」
「え、環境って?」
「自然環境とか文化的環境とか、このアルバムが世界に向かって放っているメッセージをRに占いで通訳し、言葉にしてもらいたいんだよね!」
「…。エコですか」
「エコじゃないよ。全然。そういうことじゃなくて」
「…ふうん」
「…いいですか。僕の意図伝わりましたかね」
「それで?」
「えっ!」
「(ムッ! ) 質問なしであとは1から10まで勝手にやれと?」
「ううん。だから、えーと、まず、あの、このアルバムの存在が、現在この世界にあるってことにおける…」
「それまたつまらない質問して」
「あ、えーと。ソニック・ユースはもうほんと何作も作っているけど、これはほんとになんていうの…」
「あのー…、またさらに再デビューしたような気持ちで作ったんですよ、彼らはきっと」
「あー」
「なぜかっていうとね、(アルバムJKの真ん中の白い部分を指しながら)ここにね赤ちゃんの顔みたいな、ブタみたいなのがみえるでしょ」
「えーえーえー」
「これはね赤ちゃんを生んだってことなんですよ、きっと」
「なんかあれだね。絵画の作品解説みたいになってるけど、Rは、ソニック・ユースのJK占いの内容として解説してるわけだよね」
「もちろんだとも!」
「いや、いちおう読んでるひとに説明しとかないと」
「再デビューのつもりだと思いますよ。たぶん」
「なるほどね」
「今までやってきた自分たちのことをガラリと変えるわけじゃないんだけど、自分たちが新しくその(今までやってきたことと)同じようなラインで、そのラインなんだけど新しくもう1回生まれたっていうこと。路線を変えたわけじゃないの。今までの路線をニュー・ラインにしたということなんですね。きっと」
「へー。なんかこれまた雑誌を読んだかのような、すごい当てっぷりですね。相変わらずすごいじゃないですか」
「ええ、最近ヘミシンクしてるから」
「ソニック・ユースもRさんも錆びつかないですね。その秘訣ってなんですかね。このソニック・ユースにとって」
「やっぱりあのー、そんな路線変更するっていうことはさ自分たちのやってきたことを信じてなかったっていうことですから」
「なるほど」
「いやー、嘘のない自分を今まで出してきたっていうのが良かったんじゃないですかねと思いますけどもね」
「低次元な言い方をするとさ、路線変更するもなにも、もう何年もこのひとたちやってきてるわけだから、そんな路線変更しようと思っても実際出来ないんじゃないの。手クセみたいなものもあるしさ」
「そんなことないと思うよ」
「そう?」
「うん」
「それは出来るけどしないの?」
「うん。おもしろくないからだと思う」
「あー、なるほどね。おもしろさの追求っていうのが、このアルバムの今回の方向だったわけだ」
「今までの自分たちのずっとやってきた方向を、さらにまた新たなニューラインでそれを作りあげることが一番おもしろいってことなわけじゃないかなあ」
「でもそれって一番むずかしいことかもしれないよなー」
「一番おもしろいしむずかしいね」
「だって、自分たちがずーっとやってきたことをビルドアップさせていくっていうのはさ、ホントに大変なことだよ。全然ちがう新しいことをやるほうがさ気持ち的に楽だもん」
「うーん。もしかしたらそういうこともしてみたことがあって、それで、そうじゃないんだってことに気づいているのかもしれないね」
「うーん」
「知らないけど。ま、ガリバーは知ってるだろうけど」
「いやー、ソニック・ユースはすごいね。そういうことが出来る秘訣ってなんだろうね?」
「だから、やっぱり自分に嘘をつかないでやってきたことと、自分を信じてるってことじゃないのかな」
「ほー。まあ、そういうバンドをずっとやってきたってことなんだろうなソニック・ユースは。カッコいいな。でも、もうみんな50歳越えてんだよ?」
「なんで? 50歳越えたら自分に嘘ついて生きなきゃいけないの?」
「タハハ、いや、そういうわけじゃないけど。…ハハ、ま、どうもありがとう」
20年以上つづくバンドの音には
新人バンドにはない何かが宿っている。
それは何だろうかと考えながら
ソニックユースの新曲を聴くがよくわからない。
わからないけれど、やはり何か
長年積みかさねてきた凄みがある。
結成十年くらいではだせない凄みで、料理でいえば濃厚なダシである。
前衛的なギターの重ね具合に旨味成分があるのだ。
ロックをつづける醍醐味ってこれなんだろうなと思う。
バンドをとっくやめてしまった俺がたったひとつ残念に思うのはこの醍醐味を感じる機会を失ったことだ。
でも、つづけてればいいってもんでもないしな。
常に真摯に音と向かいあってきたソニックユースだからこそカッコイイのだ。
だらだら何年もつづけてきただけのバンドには
だせない音なのである。
ソニックユースは「混乱の美」を奏でてきたバンドだが、
その混乱の中に揺るぎない一本の芯を通してきたと思う。
その芯とはノー・ウエイヴの魂である。
かざりじゃないから押してみてぃ〜



