ミニマルテクノの実力派、ANDRE GALUZZIのプレイを体験するために。
2009年へのカウントダウンにむけて
フロアはひとの数が急激に増えていく。
その数は半端ではなく、
踊ることはもちろん動くこともむずかしい。
周期的に押し倒されるような波がやってきて、
誰かが転べば大事故につながりかねない危険な状態だ。
だけどそんな必死な危機感を持っている俺のよこで、
Rが楽しそうな笑顔をしていて驚いた。
よく見るとみんなも苦しそうながら楽しんでいるようだ。
俺は蒸し風呂のように暑く、煙草くさいこの場から一刻も早く脱出したかった。
ふんばる足元は
ビールかコーラでベタベタしていて気持ち悪い。
そういう状況で聴くミニマルテクノは
俺にとって苦痛のBGMだった。
壁には大きなデジタル数字が表示される。
あと15分…10分、あと5分…。
カウントダウンが終わればすぐに帰ろう。
帰れると思うと、
心なしか単調なリズムも盛りあがって聴こえる。
アナウンスが流れる。
「Are you ready Tokyo〜〜!?」
10、9、……3、2、1!
ハッピーニューイヤー!
(ぜひ一番目の動画を流したままで、こっちも再生してみてください。音が、その場と同じような臨場感になります)
ライトアップされたフロアにキラキラ光る紙吹雪が舞う。
透明の巨大なビニールボールがみんなの頭上を跳ね回る。
俺も笑顔のRに叫んだ。
「ハッピー・ニュー・イヤー!」
「ハッピー・ニュー・イヤー、ガリバー!」
「じゃあ、そろそろ出ようか」
「えーッ! ここからもっと良くなると思うよ」
『もっと』って、、、俺にはそうは思えない。
カウントダウンに入るまで1時間くらい聴いていたが、
延々とリズムが繰りかえされるだけで、メロディのない、
盛りあがりどころがよくわからない音楽である。
Rを含む周囲の何人かは「ココきてる!、カッコイイ!」などと、ANDRE GALUZZIの音を理解しているようだが、俺にはわからない。
唐突だが家に帰ったら曲を作ろうと思った。
リズムレスにしよう。
ギターで弾き語るメロディアスな音楽を作ろうと思ったのだ。
なぜか妙にクリエイティブな気持ちになったのは
テクノじゃない自分を再確認したからだ。
Rが帰るのを拒否するので、
ジャンケンで決めようということになった。
俺が勝った。
「遅だしだ!」と騒ぐRを引っぱり出口へ向かうと
…ガーン! とても出られる状態ではなかった。
カウントダウンが終わったらすぐに帰ろうとする無粋な奴らが、団子状態で出口につまって微動だにしていない。
その衝撃的な光景に俺は神の意志を感じた。
『まだ残れ』と。
2008年までは俺の幼年期だ。
理解出来ないことを放棄するのを自分に許して来た。
だが、2009年からは
未知のことにコミュケーションしていくのだ。
一瞬の間にそう告げられた気がした。
「もどるか」
俺のあっさりした態度に疑問を持つこともなく、
Rはうなづくと先頭をきって
逆流してくるひと波をかきわけていく。
ANDRE GALUZZIの音に身をまかせると、
ときどき妙な気持ち良さを感じるときがある。
音の強さが気持ち良いのだ。
曖昧でなく確信を持って鳴らされる音に、従いたくなる。
たしかにANDRE GALLUZZIの音はカッコイイ。
生きざまがにじむ音だ。
出している音とANDRE GALLUZZIに矛盾がないからだろう。
だが、まだ俺の精神は
ミニマルテクノをとりこみ、
快感へと昇華させることを拒んでいる。
これはなんだろう?
異星人と自分は、宇宙の中で同じ存在だと
理解できないのと同じではないか。
音楽はすべて音楽であり、クオリティが高ければ
どんなジャンルでもコミュニケーションをとれるはずだ。
自分のかたくなさに気づいたとき、
成長しようと心に決めた。
午前2時すぎまで踊るとさすがに疲れて来る。
足も痛くなってきた。
Rに「帰らない?」とたずねると、
「いいよ」と憐れみの表情で同意してくれた。
元旦の渋谷の空気は顔が切れそうなほど冷たい。
Rと「どうだった?」と歩きながら話す。
Rはまだ少しいたかったらしい。
俺はミニマルテクノから解放された喜びと同時に、
言葉にするのがむずかしい感情があった。
ANDRE GALUZZIの音楽は好きではないけど、
嫌いというほど単純な言い方はできない。
映画2001年のオープニングを思い出す。
原始人が初めて石を道具として使い始め
骨を叩き割る瞬間が描かれる。
それはさりげなくも大きなドラマだ。
あの感じに近い。
つまり俺にとってはけっこう衝撃だったということ。
俺の幼年期の終わり。
ANDRE GALUZZIというモノリスの到来によって
ニューイヤーが始まったのだ。

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クラブは最近行ってないけど、一時期ボアダムスのアイのプレイが好きでよく行ってました。
フジロックでのJUSTICEも最高だった!
ANDRE GALUZZIも良いですね。
私も体験してみたかった。
hada naokoさんはフジロック行ったんだね。うらやましいな。でも、ぼくらはあのどろんこの中にはこの先も一生行けないと思う。体力とはまた別の問題で、、、。
また暇があったら見にきてね! それから、年賀状の返事、わざわざありがとう!
年賀状もらうと、やっぱり嬉しくて返事書いちゃいました。
素敵な年賀状アリガトウ!